2012年2月10日金曜日

「放射線のひみつ」を読んで、リスクと原発問題について思ったこと

どうも。
原発事故が発生してから1年が経とうとしているのにいまだに放射線について漠然とした理解しかしていないなと思い、この本を読むことにしました。
中川 恵一
朝日出版社 2011-05-27
¥ 945
本の感想としては、用語の解説や放射線の影響について非常にわかりやすく書かれているいい本だと感じました。玉石混交の情報があふれる中、それらに振り回されないためにも、まずはこの本で基本的なことを抑えておくといいのではないでしょうか。

また、本書の主題ではありませんが、リスクの捉え方を考えなおすいいきっかけにもなるかと思います。
あとがきに「リスクがないと思っていることが、リスクだと感じた次第です。」という一文が書かれています。これは筆者が青信号に従って歩いていたにも関わらず、接触事故に遭ったときの経験で感じたことだそうです。
筆者が経験したように、人は誰しも外出するときには事故に巻き込まれるリスクを抱えています。もちろん滅多に起こることではないので、普段は意識することはないでしょう。しかし、それはリスクがないわけではなく、無意識のうちにリスクを受け入れているだけです。外出することで得られる利益に対して、外出することで抱えるリスクが十分に小さいと判断しているわけです。
このように、リスクとは本来それ単体で価値が判断できるものではありません。

その点で原発問題について不満に感じることがあります。
それは、原子力発電のリスクにばかり注目されているように感じるということです。たしかにあれだけの事故を起こした以上そうなるのは仕方がないことです。ですが、本来は複数の選択肢からそれぞれのリスクと利益を考慮して決定されるべきはずなのに、あらかじめ答えありきで話が進んでいるように思えるのです。

たしかに原子力発電をやめれば今回のような事故が起きるリスクはなくなります。それが原子力発電をやめるという選択肢の大きな利益でしょう。ではリスクは?当然あるはずです。
これは裏付けもなにもない僕の想像ですが、例えばこんなリスクがあったりしないでしょうか。

・火力発電の稼働率が高まることにより大気汚染が進む
・燃料の輸入元である中東情勢の影響が大きくなる
・他国に支払う燃料代が増える
・電気代が上がることによって工場の海外移転が進み、国内の雇用が減少する

個人的には特に経済面での影響が気になるところです。経済面での利益を言うと、人命より経済を優先するのかと批判する人もいるでしょうが、経済が悪化することで失われる命だってあると思います。そしてそれは放射線が与える影響よりも大きいかもしれません。

私は原発事故をかばうつもりはありません。大きな負担を背負わされた福島の方々は大変だと思いますし、多くの国民に余計なリスクを抱えさせたという事実は変わりません。あれだけ大きな影響力を持っていることがはっきりした以上、今後再稼働させることは難しいかもしれないとも感じています。
ですが、答えを最初からきめつけるのではなく、冷静に様々な視点から捉えるべき問題だと思います。

リスクに対するリターンはなにか。どの程度のリスクなら許容できるのか。普段の生活からこうした意識を持つことが、再度同じような事故を起こさせないためにも重要なのではないでしょうか。

以上です。それではまたー。

0 件のコメント:

コメントを投稿