2011年8月31日水曜日

今度はショートハイク

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早々と断念してしまったアパラチアン・トレイルですが、1日中森の中を歩き、夜は山の中でキャンプする。それ自体はとても楽しい経験だったので、またアパラチアン・トレイルを通ってショートハイキングに出かけようと思います。

目指すのはバーモント州のWoodstock。Hanoverから35kmほど離れたところにある町です。町の名前からウッドストック・フェスティバルと関係あるのかなーと思ったら、まったく関係ないみたいですね。(wikipedia参照)

予定では、山中で2泊してWoodstockに1泊、土曜日にHanoverの町に帰ってくるつもりです。

前回荷物の重さに耐えられなかったことを反省し、今回は必要最小限の装備で行きます。ありがたいことに、Hanoverに住んでいる友人が荷物を預かってくれるというので、心置きなく荷物を軽くすることができました。いやはや、持つべきものは友ですね。

ただ、先週末にハリケーンが通過しただけに山の中の様子が気になりますね。この辺りではハリケーンはあまり強くなかったんですけど、山がなんらかの影響を受けている可能性は大きいでしょうし、十分気をつけて行きたいところです。

それでは明日から2泊3日のキャンプ生活、楽しんで行ってきます(^_^)丿

2011年8月28日日曜日

アパラチアン・トレイルについてちょっとだけ紹介

結局歩けたのは3日間で35km程度なので、3,500kmあるアパラチアン・トレイルのわずか1/100のみ。トレイルについてほぼなにも知らないと言っても過言ではないのですが、少しだけ歩いた道を写真とともに紹介したいと思います。

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僕が歩いたHanoverからSmarts Mountainまではほとんど写真のような森の中を歩きっぱなしでした。ずっと見晴らしの悪い森の中を重い荷物を背負って歩き続けるのは、なにかの苦行をやってるような気分でした。

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木に付けられた白い目印。これをたどって歩くことで迷わずに進めるようになっています。

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シェルターが近くなると、看板で分かれ道であることを教えてくれます。

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白い目印をたどっていたはずなのに、いつのまにか別のトレイルに入り込んでしまったことがありました。町に出たので変だなーと思いながらも道を下っていると、わざわざ車を止めて「どうしたの?」と声をかけてくれた人がいました。ありがたいことに、別のトレイルを歩いてしまってたことを教えてくれた上に、トレイルの出口まで車にのせて連れていってくれました。

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森の中を歩いていても、ときどきこのように開けたところを歩くときもあります。

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写真では伝わりにくいとは思いますが、トレイルは想像以上に急斜面で登るのに苦労しました。

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二日目に宿泊したTrapper John Shelter。山小屋というよりは避難小屋。見ての通り、壁の一方は開いています。僕はテントを持って行っていたので、小屋の近くにテントを張って泊まりました。ハイカーによってはテントは持たず、シェルターにだけ泊まりながら歩く人もいます。

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シェルターの近くにはPrivy(トイレ)が設置されています。といっても見てのとおり、周りを囲う壁すらない簡素な作り。地面に穴が掘ってあるわけでもなく、便座の下にぶつと紙がたまるようになっているだけです。下は吹き抜けになっているせいか、あまり匂いが立ち込めたりはしてませんでした。場所によってはちゃんと壁があるトイレもありました。

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トレイルを歩く上で水の確保は重要です。写真はシェルターの近くにあった小川。このような川から浄水機能つきのポンプを使って水を汲み上げることで飲み水を確保しました。化学薬品を数滴たらして水を浄化する方法を使う人もいます。人によってはそのまま飲んでしまう人もいるようですが、安全のためにはおすすめできません。ここでは飲み水を確保したついでに、水にひたしたタオルで体をぬぐってリフレッシュしました。さすがに水は冷たかったですが、さんざん汗をかいた後なので最高の気分でしたよ。

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トレイルを歩いていると、とれもきれいな場所に出ました。飲み水は十分持っていましたが、あまりにきれいなところだったので荷物を下ろしてしばらくゆっくりしていました。

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Smarts Mountainの中腹にあるLedge(岩棚)の上から見た景色。見渡す限りの森と遠くに見える山々。登るのはひたすらきつかったですけど、さすがにこの景色を見たときは登ってきてよかったと思えました。

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Smarts Mountainの頂上へはたどり着けず、ここを最後に引き返すことにしました。

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Smarts Mountainを下山して近くのLymeという町を目指しているときに、ヒッチハイクをして車に乗せてもらいました。Lymeまで連れてってもらうつもりだったのですが、家によった後Hanoverまで行くというので、ありがたくHanoverまで連れていってもらいました。

たった3日間の行程でしたが、初めての森の中でのキャンプや、いくつかの出会いは非常に思い出深いものになりました。ほんの一部しか歩けなかったとはいえ、多くの人を魅了するこのトレイルの魅力を少しだけ垣間見れたような気がします。
ハリケーンが去ったら、また近くの町を目指して数日間だけトレイルを歩いてみようと思っています。もちろん森がどれだけハリケーンの影響を受けるかにもよりますが。それと歩くときは必要最低限の装備にすることも忘れずに。

それでは。

2011年8月27日土曜日

残念なお知らせ

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えー、ほんの数日前に勇ましく出て行った手前恥ずかしいのですが、一旦アパラチアン・トレイルを歩くのを断念することにしました。今はハノーバーに戻ってきてこれを書いてます。

断念した理由は、思った以上に山道の傾斜がきつく、重たい荷物を背負って登ることが非常にきつかったからです。荷物がどのくらいの重さなのかは量ってませんが、スペインのときの荷物が18kgだったことを踏まえると、感覚的には20kgはゆうに超えて、25kg近くあるような感じです。これだけの荷物を背負ってきつい傾斜を登るのは思った以上に大変で、正直なところ登ってる時はもうやめたいってことしか考えてませんでした。それでも最初の二日間はなんとか乗り切っていたんですが、今日登っていたSmarts Mountainの途中で、これから先にもっと高い山があるのにこの荷物を背負ってる状態ではとても続けられない。続けるなら荷物を減らすべきだと実感しました。

一旦仕切りなおそうと決心した後は、いつ止まるべきかを考えました。今日は無理をすれば頂上に行くこともできたとは思います。しかし、ハリケーンが明日の夜あたりにやってくるという状況の中、もし今日Smarts Mountainにキャンプしたとしたら、明日中に町に下りなくてはなりません。先を進むのは1日で町に下りられる自信がないのでありえない。戻るにしても、登っていた道は岩の上を通る道が多く、もし明日の朝から雨が降り始めたら下りるときが危険になる。こうなったら引き返すのは早い方がいいと思い、ここまで来て頂上にたどり着けないのが残念でしたが、諦めて引き返すことにしました。

下山して近くの町を目指して歩いていると、幸運にもハノーバーに行くという人たちの車に拾ってもらえたので、一気にハノーバーに帰ってきた次第です。

今週末はハリケーンが来るので気軽に動けないですし、もう一度挑戦するかどうかも含めて、今後の予定を考えたいと思います。

それでは。

ちなみに、上の写真は今日登っていたSmarts Mountainの中腹からの景色です。

2011年8月24日水曜日

再び旅の日々へ

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先週末に3ヶ月に渡るボストンでの語学学校生活を終え、旅を再開する日がやってきました。これからは旅先の様子をメインに書いていくつもりなので、しばらくはスペインに関する記事はおやすみです。始めたばっかりですけど、始めた時期が悪かったですね。

さて、今はニューハンプシャー州のハノーバーという町に来ています。この町には全米でも有数の大学であるダートマス大学があり、小さいながらも美しい景色が楽しめる町です。とはいえ、この町には観光に来たのではなく、ここからアパラチアン・トレイルを歩き始めるために来ました。

アパラチアン・トレイルとは、ジョージア州からメイン州にかけて14の州を通過していく長距離トレッキングコースで、その全長はなんと3,500kmにもなります。このトレイルを一度に踏破しようとする人のことをスルー・ハイカーと呼び、彼らは春先から半年程度かけて踏破を目指します。
今の時期からはどうやっても全区間歩くことは出来ないのですが、一部だけでも歩いてみたいと思い、ここハノーバーにやって来たわけです。一部といっても、ハノーバーからトレイルの北端であるメイン州のカタディン山までは700km弱あります。ま、実際にはどこまで歩くかは分かりませんが。

4月にスペインのサンチャゴの巡礼路を歩いたこともあり、ある程度長距離を歩くことには耐性があると思っていますが、それでもこのトレイルはきついものになるでしょう。スペインでは毎日アルベルゲというホステルに泊まってましたし、1日にいくつもの町を通過したので食事も休憩も町でとることが出来ました。しかし、山の中ではそうもいかず、寝るときはキャンプですし、食料は自分で運ばなければなりません。当然毎日のシャワーもなし。数日おきに町に下りられるとはいえ、これはなかなか大変そうです。

なんにせよ明日から歩き始めるわけですが、荷物の重さに耐えられるか、食料はちゃんと確保できるのか、燃料はもつのか、野生の熊に遭遇しないかなど、正直不安だらけです。とはいえ一応の準備はしてありますし、後はとにかく自分の身を一番に考えて歩くようにするだけです。場合によってはさっさと歩くことをやめてボストンに逃げ帰ることもあるでしょう。無理をして今後の旅が続けられなくなったらつまらないので。
ま、不安と同時に楽しみでもあるんですけどね。スペインを歩いたとき以上にシンプルな、かつもっと自然を感じながら過ごす日々が本当に楽しみ。その日々を精一杯楽しむためにも、無理せず安全に行きたいですね。

町に下りたとしてもインターネット環境が整ってるかは分かりませんが、もしあったら生存確認程度の更新はしたいと思います。それではいってきます。

2011年8月18日木曜日

"EL CAMINO" Day2~Day4

Day2(4/6) ロンセスバージェス〜ララソアーニャ

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ロンセスバージェスを出るとすぐに森の中を歩くことになる。この日歩き始めたのは6:30前。まだ日が昇っておらず、森の中はとても暗い。ライトを持ってきてなかったら歩くこともままならなかっただろう。
30分ほどで森を抜けるとそこはブルゲーテ村だ。この村はヘミングウェイにゆかりがある村で、写真のHostel Burgueteに長期滞在して鱒釣りを楽しんでいたのだとか。
村に入ったらバルを探そう。巡礼者にとってバルは、朝食、昼食、休憩など利用する機会は多く、一日として行かない日はなかった。長い距離を歩いてようやく次の町を見つけたときなんかは、早くバルに行ってコーラを飲みたくてたまらなかったものだ。


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ブルゲーテ村を過ぎる頃には日も昇っており、朝もやが漂う中を歩き続ける。
これから幾度と無く見ることになる景色だが、遠くに町が見つけたときはいつだって嬉しい気分になる。少しずつでも先に進んでいるのを実感できるからだろうか。


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休憩していた村で家畜の羊たちを移動させるとこに遭遇した。


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ララソアーニャのアルベルゲ。ここのは標準的なアルベルゲだったが、ある一つのベッドが軋む音が半端ではなく、そこで寝る人が少し動いただけですごい音がして何度か起こされた。ここのは特別な例だったが、アルベルゲに泊まるためには音に対してあまり神経質にならないことだ。いびきがひどい人の隣で寝ることだってあるのだから。
ララソアーニャは小さい村で、食事も近くのバルで巡礼者同士が集まって食べることになる。巡礼者たちはたいてい似たような距離を歩くので、自然と顔を合わせるメンバーは一緒になることが多い。実際に、その後たびたび一緒になる旅の仲間たちと初めて会ったのはここだった。

Day3(4/7) ララソアーニャ〜シスール・メノール

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この日は牛追い祭りで有名なパンプローナを通過した。パンプローナはサン・ジャンを出発してから初めて遭遇する都会だったが、足を止めるには時間が早かったので軽く町をうろつくだけで通過した。写真はパンプローナのカテドラル。


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シスール・メノールはパンプローナから数km先にいったところにある町だ。ここのアルベルゲは女将が人気なことで有名らしい。たしかに明るく人当たりのいい女将さんだった。アルベルゲ自体も部屋もシャワールームも清潔だったし、庭でくつろぐこともできるいいところだった。パンプローナでなくこっちを選んだのは正解だったようだ。都会はたしかに便利だが、せめてカミーノを歩いているときは、小さい村でゆっくりとした時間を楽しんでみるのもいいのではないだろうか。

Day4(4/8) シスール・メノール〜プエンテ・ラ・レイナ

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シスール・メノールを出発してしばらくすると峠越えだ。カミーノの前半はアップダウンを繰り返しながら旅をすることになる。楽ではないが、その分景色の変化を楽しみながら旅をすることができるだろう。
峠を登り切ったら下りだ。ここの下りは比較的急で石がゴロゴロしているところなので焦って下らない方がよいだろう。前日にシスール・メノールの女将さんも注意してくれた。しかし、女将さんの口ぶりから相当きつい道を想像していたのだが、実際にはそこまでではないように感じた。石で足をひねらないように気をつけておけば大丈夫だ。


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峠を下り終えた後、村をいくつか通過すればプエンテ・ラ・レイナに到着だ。この町は僕が歩いているフランス人の道とアラゴンルートと呼ばれる道が一つになるところだ。その昔は重要な拠点のひとつだったらしいが、今は静かな小さな町のひとつだ。
プエンテ・ラ・レイナとは王妃の橋という意味で、11世紀にかけられた橋(写真3枚目)に由来しているらしい。

この町は思い出深い町のひとつなのだが、その話については次回に回すことにしよう。

2011年8月17日水曜日

あらためてBOOKSCANに注目

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BOOKSCANが会員向けに提供しているサービスがとても魅力的だったので紹介したい。しかしこれいつからあったんだろ?

チューニングラボ

チューニングラボについてのBOOKSCANの説明を引用して紹介しよう。

BOOKSCANチューニングラボβは、ブックスキャンでスキャンしたPDFを、様々な端末で読みやすくなるようチューニングするための無料システムです。 オプション料金を追加で払うことなく、いつでも自由にKindle3やiPhoneなどの様々な端末で読みやすく変換されます。
iPadは画面が大きいのでスキャンしたPDFをそのまま読んでもあまり不都合は感じ無いが、kindleではそうはいかない。小説を読むのにはiPadよりもkindleの方が向いてると思っているが、自炊した文庫本をkindleで読もうと思っても、文字の色は薄く、サイズは小さく表示されてしまうので、わざわざ補正をかけなくては使い物にならなかった。ただでさえ自炊に手間がかかるのに、それに加えて補正作業までしなくていけないのは億劫でたまらず、自然と小説の自炊はしなくなってしまっていた。
そんな僕にとって、PDFをそれぞれの端末に最適化した状態へと変換できるというのはものすごく魅力的だ。実際に使うまではどの程度実用的な機能なのかは分からないが、サンプル画像を見るかぎりはなかなか良さそうに見える。

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このサービスは無料で使うことができ、国内で販売されてる合計32機種に対応しているとのこと。でも別のページには、「現在の対応端末は、iPad、iPhone3G、iPhone3GS、iPhone4、HTC Desire、Galaxy S、Kindle3、SONY Readerです。」とあった。どう合計したのかは知らないが、これだけの端末に対応していれば十分だろう。

プレミアム会員

BOOKSCANでは、月額9,980円(税込)支払うことでプレミアム会員として様々な特典を得ることが出来る。約1万円というのはかなり高く感じられるが、得られる特典は人によってはこれだけの金額を支払う価値があるだろう。

・毎月50冊分のスキャンが無料 & OCR、名前変更作業が標準対応

BOOKSCANでは、スキャン作業にOCRとファイル名変更作業をオプションで付けると、1冊分(本1冊とは違うので注意。詳しくはこちら)あたり250円かかる。であるので、月額1万円として計算すると、40冊分依頼してトントン、フルに50冊分依頼すると2,500円お得になる計算だ。ちなみに51冊分以上は別途対応になる模様。
ならば月40冊分以上依頼しないならプレミアム会員になる意味はないかと言うとそうでもない。金額に現れないメリットがたくさんあるのだ。

・プレミアム会員専用ライン

BOOKSCANは相当人気があるらしく、申し込んでから実際にスキャンされるまで3ヶ月ほどのタイムラグがある。しかしプレミアム会員には専用のスキャンラインが用意されており、スキャンセンターに書籍が到着後、当日〜1週間以内にPDF化してもらえる。すぐにでも電子書籍リーダーで読書をしたいという人にはありがたいサービスだ。

・ウェブ書店から直送指定が可能

Amazonや楽天ブックスで買った本をBOOKSCANに送る場合、普通ならば自宅で荷物を受け取った後、送料を支払ってBOOKSCANのスキャンセンターへと送る必要があった。しかしプレミアム会員になると専用のナンバーが与えられ、ウェブ書店からスキャンセンターへと直接送ることが可能になる。つまり、Amazonで買った本がBOOKSCANを経由してPDFで納品されるのだ。擬似的な電子書籍ストアのような感覚が味わえることだろう。事前にスキャン依頼をしなくてもいいというのも手間がかからなくていい。

その他にも
・ファイルを一括ダウンロード出来るソフトウェアが利用できる
・チューニングラボでの作業を優先してやってもらえる
・チューニング後のファイルをDropboxのマイアカウントへ自動アップロード
・PDFファイルの無制限保管
・無料で発送用のダンボールをもらえる
といった特典を利用できる。

これらの特典がその人にとってどれだけ魅力かによって、月に30冊分でも元が取れると考える人もいるだろうし、10冊分でもいいと思う人もいるだろう。

また、こんな考え方もできる。1冊の本を自炊するのにかかる時間を10分とすると、50冊PDF化するのにかかる時間は約8時間だ。その8時間を1万で、時間当たりにすれば1時間を1,250円で買うと思えばそこまで高くはないように思えてこないだろうか?

なんにしても月1万円の固定費というのは非常に大きい。利用するときは慎重に得られるものと天秤にかけて決めるべきだろう。

2011年8月16日火曜日

"EL CAMINO" Day1 ピレネー越え

4月5日早朝。いよいよ遙か800km先のサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して旅立つときがやって来た。初日はサン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出発して、スペイン側の起点となる町ロンセスバージェスを目指す。このルートは初日が一番きつい。荷物の重さに体が慣れない状態でピレネー山脈を超えなければならないからだ。ちなみに僕が担いでいた荷物は約18kg。これだけの重さの荷物を持っている人はほとんどいない。僕が出会った人の中では最も重たい荷物だった。正直これだけの重さの荷物を担いでいけるのか不安だったが、カミーノではどんな行動も自分の責任のもとで行わなければならない。普段から心がけるべきことでもあるが、カミーノの上ではことに強くこの事実を意識させられた。


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サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町を出てしばらくは緩やかな上り坂を登っていく。まだ暗いうちに出発したので朝日が昇るのを眺めながらの行程だ。山の景色を楽しみながら歩くのはいいものだと思っていたが、段々と坂道がきつくなってきて荷物の重さがこたえるようになってきた。しかし歩かなければいつまでたっても進まない。きついのを我慢して足を動かし続けるとオリソンのアルベルゲに到着だ。


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ここはバルも併設してるので休憩するには格好の場所だ。テラスから見る景色は素晴らしく、坂道を登ってきた甲斐があるというもの。ここから先、ロンセスバージェスまではバルなどはないので、ここで昼食用のサンドイッチを買っておくことにした。


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オリソンを出て先に進むと、山の上に開けた草原が広がっており気持よく歩くことが出来る。といっても上り坂は続いているし、そろそろ荷物の重さで肩が痛くなってくる。ちょうどお昼時だったので、休憩も兼ねて適当なところに腰を下ろして昼食にした。普通のサンドイッチだが、やっぱり景色のいいところで食べる味は格別だ。


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スペインのナバーラ州の標識。ここから先はスペインだ。この辺りから道は林の中へと入っていく。


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林の中を歩き続けると、開けた丘に出る。ここからはこれから歩いて行くスペインの大地を眺めることができる。ここからは下り道。手前に見える森の中を歩いて行く。疲れた足には踏ん張りながら歩かなければならない下り坂はこたえるが、この森を抜けるとロンセスバージェスに到着だ。


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ロンセスバージェスはフランス側からピレネー山脈を超えてきた人たちにとってはようやくたどり着いた町だが、この町から歩き始める人も多い。そのために滞在する人も多く、ここのアルベルゲはとても大きい。また、最近立て直したのだろうか、ここのアルベルゲは最もきれいなアルベルゲの一つだ。ベッドの脇には鍵付きのロッカーも備え付けられているので、安全面でも安心できる。ちなみに値段は10ユーロだった。
この町は巡礼者のためだけにあるような小さい町で、教会では毎日巡礼者のためのミサが行われている。自由に参加できるが、アルベルゲにチェックインするときに申し出ておくとミサで旅の安全を祈ってもらえるらしい。

今振り返ってみてもこの初日が一番きつかった。昼寝から起きたら筋肉痛がひどくて次の日歩けないんじゃないかと思ったりしたほどだ。と同時に、一番きつい区間を歩き通したのだからこれからもなんとかなるだろうという自信にもなったが。なんにせよこの時点では旅は始まったばかりで、これから出会う人たちや出来事について知るよしもなかった。このブログでは引き続き歩いた道をたどりながら、僕がした経験についてみなさんに紹介していくつもりです。

"EL CAMINO" 黄色い矢印に導かれて

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始まりの町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出るとすぐに、このような看板が目に入った。旅の様子を紹介する前に、今回はすべての巡礼者が注意しなければならない道しるべについて書くことにしよう。

ほとんどの巡礼者は地図を持って歩かない。町や宿の情報が乗ったガイドブックは持っているが、カミーノを歩く上で地図は必要ないのだ。毎年多くの巡礼者が歩くこの道は整備が進んでおり、道沿いの村々には巡礼者用の宿であるアルベルゲを備えているところも多い。その整備の一環として巡礼者たちが道に迷わないようにところどころに道しるべが用意されているので、巡礼者たちは地図を持っていなくても安心してあるくことが出来るのだ。トップの写真も道しるべの一つである。写真のような看板式の他にも様々な形で道しるべは存在しているのでいくつか紹介していこう。

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地面に描かれた黄色い矢印。おそらく一番目にする機会が多かった道しるべはこのような矢印だ。地面だけではなく、場所によっては岩に書いてある矢印が道を教えてくれることもあった。巡礼者はこのような矢印を頼りに旅を続けるので、自然と歩くときには矢印がないか注意するようになる。

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整備されているとはいえ、中には消えかけていて見つけるのが難しい矢印もあった。枠の中にうっすらと黄色い矢印があるのが分かるだろうか?この写真の場合左が正しい道なのだが、矢印を見つけることができなかった僕らは右の道に進んでしまい、しばらく歩いてから引き返すハメになった。ほとんどの場合分かれ道には矢印があるはずだが、時には見つけにくいところに隠れていることもある。どっちの道か迷ったときは焦って進まず、落ち着いて探してみることをおすすめする。

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モホンと呼ばれる道しるべ。分かれ道の少し先にモホンを置いて正しい道を示すことも多い。また、ひたすら一人で長い一本道を歩いていると、正しい道を歩いているはずだが本当に合っているのだろうか?と不安になることもある。モホンはそんな不安になったときに現れて、これは正しい道なんだと再確認させてくれるありがたい存在でもある。

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道に埋め込まれた道しるべ。町に入ると、黄色い矢印を書く代わりに道しるべが道に埋め込まれていることもある。

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道に埋め込まれた道しるべの別の例。わざわざ町の道路に埋めこんであることからも、たくさんの巡礼者たちがこの道を歩いていることが想像できる。

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その他にも石を並べて作った道しるべや、家の壁に貝殻を貼り付けて作った道しるべなどと出会った。

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目的地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラにほど近い場所にあった道しるべ。最初から最後までこのような道しるべをたどってカミーノを歩いたのだ。そのせいか、歩き終えてから数ヶ月たった今でも、黄色い矢印を見るとついそっちに歩きたくなってしまう。

2011年8月15日月曜日

"EL CAMINO" 出発地を目指して

はじまり

4月3日。いよいよスペインへと出発する日がやってきた。同時に、この日は初めての一人旅へと出発する日でもある。今まで旅行はたくさん行ってきた方だと思うが、これまで一人旅はしたことがなかった。2月に友人と中東に行く前まではいわゆる安宿というものに泊まったこともなかった。そんな状態だったので、正直いきなりサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(El Camino de Santiago)に挑戦するのは些か不安だった。それでもこの道を歩こうと思ったのは、長距離をずっと歩いて旅するというのがなんだか旅の始まりとしてはふさわしい気がしたからだ。それになりより、ハチクロを読む度に竹本くんがやった自転車の旅みたいな旅行をしてみたいと思ってたというのが大きいww 竹本くんが修復師の人たちと別れて北海道の北端に着くまでの描写はハチクロの中でも好きなシーンの1つなのだ。

フランスへ


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サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路にはいくつかのルートがあるが、僕が選んだのはその中でも一番メジャーなフランスの道だ。この道を歩く人の多くは、フランスとスペインの国境近く(フランス側)にある小さな町、サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(Saint-Jean-Pied-de-Port)からスタートするということだったので、僕もそこからスタートすることにした。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへは、パリから特急に乗ってバイヨンヌという町へ向かい、そこで在来線に乗り換えると辿りつける。僕の場合は4月3日午前中の便で日本を離れ、パリに夕方に到着。その日の深夜に夜行でパリを出発し、バイヨンヌで鈍行に乗り換えて4月4日朝にサン・ジャン・ピエ・ド・ポーに到着した。はじめての夜行は意外と快適だったものの、さすがに飛行機との乗り継ぎだったので、いきなり歩き始めるのは良くないと思い丸一日この町に滞在することにした。朝の同じ電車で来た人たちのほとんどはこの町に滞在せず、数キロ先の町まで歩くことが多いようだ。写真はサン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町を高台から眺めた風景。

旅支度


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サン・ジャン・ピエ・ド・ポーにある巡礼事務所。ここでクレデンシャルを発行してもらった。
クレデンシャルとは巡礼手帳のことであり、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩く上でなによりも重要なものだ。巡礼路沿いにはアルベルゲと呼ばれる巡礼者用の宿がたくさんあるが、そこに泊まるにはクレデンシャルを持っていなければならない。また、アルベルゲに泊まるときにクレデンシャルにスタンプを押してもらうのだが、このスタンプはサンティアゴ・デ・コンポステーラにたどり着いたときに巡礼証明書をもらう上で必要になる。巡礼証明書をもらうには徒歩ならば最後の100km以上を、自転車の場合は200km以上を巡礼している必要があり、クレデンシャルに押されたスタンプが巡礼した証明になるのだ。

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クレデンシャルを手に入れたあとは、町を散策したりしながら過ごした。町には屋外市場があり、ここでドライフルーツやサラミなどの食料を仕入れた。

アルベルゲ

アルベルゲとは巡礼者用の宿のことであり、5ユーロ〜10ユーロほどで泊まることが出来る。中には寄付だけで泊まれるアルベルゲもある。また、宿泊者全員で夕食を作るところ、電気も水道もなく昔ながらの生活を体験できるところなど、特色あるアルベルゲもあり、巡礼者同士の会話でアルベルゲについて話すこともよくあった。多くのアルベルゲでは大きな部屋に複数の二段ベッドが置いてある部屋に泊まることになる。サン・ジャン・ピエ・ド・ポーのアルベルゲは想像していたよりもずっと清潔で、シャワールームも新しめで快適だった。イエメンで泊まった10ドルの宿は決してきれいではなかったので、正直アルベルゲも似たようなものじゃないのかと思っていたので少し驚いた。振り返ってみると、たしかにこの宿はきれいな部類に入るところだったのだが、他の宿もそこまでひどいところはなかったように思う。

初日の夜は明日から始まる旅に思いをはせながら眠りについた。

ブログ開設のお知らせ

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ボストンの生活もいよいよ終わりに近づき、ぼちぼちと旅支度を進めているところです。これからの旅行では旅先であったことを共有できたらなと思いブログをやってみることにしました。
何事も長続きする性質ではないのでいつまで続くのかは分かりませんが、少しでも現地の様子が伝わればと思っています。また、文章を書くのはあまり得意でないので、読みづらいこともあるかと思いますがご容赦ください。

それでは。